ランサムウェアで止まらないためのバックアップの持ち方

警察庁の
数字で見る現状
IPA の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの1位が「ランサム攻撃による被害」でした。ランサムウェアは、データを暗号化して使えなくし、元に戻す代わりにお金を求める不正なプログラムです。
警察庁が9月に公表した統計では、2026年上半期のランサムウェアの被害報告は123件でした。半期では、統計を取り始めた2020年下半期以降で最も多い数です。被害に遭った企業の約6割は中小企業でした。
取っていても戻せない
同じ統計には、被害に遭った組織へのアンケート結果があります。バックアップを取っていたのは、答えた50件のうち44件でした。ところが、バックアップから元に戻せたかを答えた40件のうち、戻せたのは11件だけで、29件は戻せませんでした。
戻せなかった29件の理由は、「バックアップも暗号化・消去された」が14件、「運用の不備」が8件、その他が7件です。バックアップを取っていても、攻撃者に見つかる場所にあれば一緒に壊されます。警察庁は、攻撃者が侵入後に内部を探し回り、重要なデータやバックアップを物色すると説明しています。
復旧には時間とお金もかかっています。総額1,000万円以上かかった組織が全体の6割を占め、1か月未満で復旧できたのは5割弱でした。
バックアップの持ち方
1つ目は、少なくとも1つの控えを、社内ネットワークから切り離しておくことです。外付けの記憶装置なら、取り終えたら外して保管します。クラウドに置く場合は、一定期間は消したり書き換えたりできない設定を使えるか確かめます。
2つ目は、バックアップを管理するアカウントを、普段の管理者アカウントと分けることです。警察庁によると、攻撃者は侵入後に管理者の権限を奪おうとします。同じアカウントで消せるなら、控えも守れません。
3つ目は、戻す練習をすることです。「運用の不備」で戻せなかった例が8件あるように、取っているつもりで取れていない、戻し方が分からない、ということが起きます。どの業務を先に戻すかの順番も、平時に決めておきます。
入口もふさぐ
警察庁のアンケートでは、侵入経路を答えた36件のうち18件が VPN 機器、9件がリモートデスクトップでした。バックアップは被害を小さくする備えで、入られないための備えではありません。VPN 機器の更新と、使っていないリモート接続の停止を、バックアップの見直しと同じ日に進めると効率よく進みます。
自社で確かめること
- ネットワークから離れた控えバックアップのうち少なくとも1つを、社内ネットワークから切り離した場所か、書き換えられない設定の保存先に置いているかを確かめます。
- バックアップの管理者バックアップを消せるアカウントが、普段のパソコンの管理者アカウントと同じになっていないかを確認します。
- 戻す練習年に一度は、実際にバックアップからファイルやサーバーを戻し、何時間かかるかを測ります。



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