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総務省、家庭用IoT機器の悪用対策を提言 プロバイダーが個別に注意

サイバーセキュリティ情報センター 編集部

画像はイメージです。記事に出てくる組織や現場とは関係ありません。

総務省は10月2日、家庭用の IoT 機器が攻撃の中継役にされる「レジデンシャルプロキシ」への対策の提言を公表しました。プロバイダーによる利用者への個別の注意喚起や、指令サーバーへの通信の遮断が柱です。

何が公表されたのか

総務省は2026年10月2日、「家庭用 IoT 機器を悪用するレジデンシャルプロキシの対策について(提言)」を公表しました。有識者の検討会がまとめたもので、7月22日から8月4日までの意見募集には22件の意見が寄せられました。

レジデンシャルプロキシは動画再生機器などに不正なプログラムを仕込み、家庭の回線を攻撃の中継に使う仕組みです。発信元が国内の家庭の IP アドレスになるため、海外からの接続を制限するサーバーにも届きやすくなります。機器の持ち主は悪用に気付きにくいとされています。提言は、この仕組みが攻撃の道具として認識され始めたのは2020年ごろからだとしています。

被害の規模

提言が引いた警察庁の報告によると、2024年のネットバンキング不正送金は4,369件、約86.9億円でした。このうち少なくとも1,918件、約28.9億円でレジデンシャルプロキシが使われていました。件数の約44%、金額の約33%にあたります。

提言は、日本で見えている被害は金銭的なものにとどまり、これは氷山の一角だと考えています。米国では、DDoS 攻撃(大量の通信を送りつけて相手のサービスを止める攻撃)とプロキシの機能を兼ねたボットネットの報告があり、重要インフラや政府機関への攻撃に転用される可能性にも触れています。

なぜ対策が難しいのか

提言は理由を4つ挙げています。

  • 機器が家庭内のネットワークにあり、持ち主が気付かなければ対策が進まない
  • さまざまな機器に巧みに不正なプログラムが仕込まれ、持ち主が悪用に気付けない
  • 国内の家庭の IP アドレスから届くため、海外からの接続を制限しているサーバーでも防ぎにくい
  • 不正なプログラムの開発者、機器のメーカー、指令を出すサーバーの管理者、中継の回線をまとめて提供する者などが複雑に関わり、攻撃の基盤を誰が動かしているのかがはっきりしない

海外ではドイツ連邦情報保安局(BSI)が2024年12月に、中継用のマルウェア「Badbox」に感染した機器の持ち主へ、プロバイダーを通じて知らせていると公表しました。2026年1月には米国の Google が、世界最大級のレジデンシャルプロキシのネットワークを止める措置をとったと発表しています。

提言された対策

提言は実態の調査と分析に加えて、2つの対策を具体的に示しています。

1つ目は利用者への注意喚起です。不正アクセスの被害者が警察の捜査の中で、攻撃元の IP アドレス、ポート番号、時刻の情報を提供します。被害者が注意喚起を申し出たり同意したりした場合に、警察庁や都道府県警察がその情報を ICT-ISAC などの通信業界団体に渡します。業界団体や情報通信研究機構(NICT)は、その端末が DDoS 攻撃などにも使える攻撃の道具かどうかを確かめ、プロバイダーに連絡を依頼します。プロバイダーは自社の記録から、その時刻にその IP アドレスを割り当てた利用者を調べ、個別に連絡します。具体的な方法は、関係者が実態に合わせて検討するとしています。

2つ目は中継の抑止です。警察や NICT が機器に指令を出すサーバーの名前(FQDN)を調べて一覧を作り、プロバイダーに渡します。プロバイダーは自社の DNS サーバー(名前から接続先を調べる仕組み)で、一覧にあるサーバーの名前を調べる通信を遮断します。不正な中継は機器が指令サーバーとつながったあとに始まるため、つながりを断てば中継を防げます。

通信の秘密との関係

どちらの対策も、通信の秘密にふれうるものです。提言は別紙で整理しています。

注意喚起では、利用者を探し出す作業が、その利用者以外の通信の秘密にもふれます。それでも、マルウェアに感染した端末の利用者への注意喚起について総務省の研究会がまとめた考え方を当てはめ、正当な業務の行為として違法にならないと考えています。指令サーバーの通信の遮断は、以前の研究会の整理に沿って、利用者が拒否できる形の包括的な同意を得て実施できるとしています。

その後の動き

11月6日の緊急対策パッケージでは、攻撃の踏み台にされる国内の機器への対策を年内にまとめるとしました。内容は政府がサイバー緊急対策パッケージ決定 お助け隊に復旧支援を追加にあります。10月に公表された相次ぐ漏えいでも、攻撃元を隠すためにレジデンシャルプロキシを通した接続が確認されています。相次ぐ漏えいで政府機関が一斉に注意喚起 IPAは点検手順を提示で触れています。

自社で確かめること

  1. 海外IPの制限だけに頼らない管理画面やログイン画面を海外からの接続の制限だけで守っていないかを見直し、多要素認証も入れます。
  2. 出所の分からない機器事務所で使う動画再生機器やネットワーク機器に、販売元やサポートのはっきりしないものがないかを確かめます。
  3. プロバイダーからの連絡機器の感染を知らせる連絡が届いたとき、誰が受けて対応するのかを決めておきます。
自社で確かめるのが難しい場合はCyberScope のセキュリティ診断(3万円から)

出典

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