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コラム

【2019年】米回収代行AMCA、漏洩で破産法を申請 和解額2,100万ドル

事故 掲載 サイバーセキュリティ情報センター 編集部

この記事は、2019年に起きた事故のその後を振り返るものです。最新のニュースではありません。

画像はイメージです。記事に出てくる組織や現場とは関係ありません。

医療費の回収を請け負う米国の AMCA は、不正アクセスの通知を始めた2週間後に破産を申請しました。主要な顧客が離れ、州とは2,100万ドルで和解しました。委託を受ける会社に何が起きたかを追います。

何が起きたのか

American Medical Collection Agency(AMCA)は米国の債権回収会社で、検査会社などから少額の医療費の回収を請け負っていました。運営会社は Retrieval-Masters Creditors Bureau です。

ノースカロライナ州の発表によると、2018年8月1日から2019年3月30日まで、第三者が社内のシステムに入っていました。決済を扱う銀行から警告があったものの、AMCA は侵入を検知できませんでした。SecurityWeek の配信記事によると、発覚のきっかけは2019年3月、同社の Web の支払い画面で使われた複数のカードに不正利用が見つかったことでした。

漏れたのは社会保障番号、カード情報、一部の人では検査名や診断のコードなどです。2021年の州の発表は対象を700万人超とし、2026年のニューヨーク州とコネチカット州の発表は全米で約2,750万人、うち Labcorp の患者を約1,020万人としています。

会社に何が起きたのか

  • 2019年5月14日:AMCA が Quest Diagnostics に事故を初めて連絡(Quest の開示)
  • 2019年6月3日:州への届け出と本人への通知を開始。信用情報の監視を2年間無料で提供
  • 2019年6月17日:通知と復旧の費用を理由に破産を申請
  • 取引:報道によると、最大の顧客4社が取引を停止
  • 雇用:報道によると、従業員の大半を解雇
  • 費用:報道によると、700万通超の通知に380万ドル、調査に約40万ドル
  • 2020年12月9日:裁判所の許可を得て州と和解し、破産手続きの取り下げを申請
  • 2021年3月11日:41人の州司法長官らと和解を発表。額は2,100万ドル。財務状況を理由に支払いは猶予され、条件に違反すると支払う

和解では事故対応の計画を含むセキュリティのプログラムの運用、資格を持つ情報セキュリティの責任者の任命、第三者による評価、州の調査への協力も条件になりました。

なぜそこまで広がったのか

AMCA は顧客である検査会社の患者の情報をまとめて預かる立場で、1社への侵入が複数の検査会社の患者に及びました。委託元には Quest Diagnostics や LabCorp がありました。

会社が破産の理由に挙げたのは通知と復旧の費用です。報道によると、影響を受けた人を特定できなかったため、サーバー上のすべての情報が取られたものとして扱いました。事故が明るみに出てから数週間で主要な顧客も離れ、同社は事業の再建を楽観できなくなったと述べています。

委託元に残った負担

負担は AMCA の破産のあとも委託元に残りました。2026年9月24日、ニューヨーク州やコネチカット州など44人の司法長官は、Labcorp が228万7,455ドルを支払うことで合意したと発表しました。侵入の発覚から7年あまりたっています。

コネチカット州の司法長官は、委託先の選定と管理は Labcorp の責任だったと述べています。和解で Labcorp に課された条件は次のとおりです。

  • 委託先の事故を社内に報告する体制を、事故対応の計画に入れる
  • 委託先に渡すデータを最小限にする
  • 委託先のリスクを見る専任のチームを置き、委託先の評価と遵守の確認を行う
  • 債権回収会社との契約で、セキュリティの基準、依頼元ごとのデータの分離、評価と監査、違反時の解除権を定める
  • 委託先の管理を中心に、第三者の評価を受ける

コネチカット州によると、Labcorp は関連する集団訴訟でも3,500万ドルの和解に合意しました。Quest Diagnostics の2026年9月期の四半期報告書には、集団訴訟で大筋の和解に達し、最終の合意書を作っている段階だとあります。和解の額は書かれていません。州の司法長官らの調査を受けていることも記しています。

中小企業が学ぶこと

通知の費用は預かっている件数に比例して増えます。報道によると、AMCA の例では700万通超で380万ドルでした。単純に割ると1通あたり0.5ドルほどです。自社の件数で一度試算してみましょう。誰の情報が見られたかを絞り込めないと、全員に通知することになります。アクセスの記録をどこまで残しているかも確かめてください。

委託を受ける会社にとって、顧客の情報を守ることも仕事の一部です。大口の顧客との契約で、事故のときの解除や賠償の条項を確かめておきたいところです。

銀行やカード会社からの警告は、自社で気づけない異変を知る機会です。誰が受けて確かめるかを決めておきましょう。

委託する側は Labcorp の和解の条件を点検の項目に使えます。渡すデータが委託の目的に必要な項目だけか、委託先が依頼元ごとにデータを分けているか、監査と解除の権利が契約にあるかを確かめます。聞き方はシステムの委託先に聞くべき5つのことにまとめています。

自社で確かめること

  1. 通知にかかる費用預かっている個人情報の件数に郵送と問い合わせ対応の単価を掛けて、通知の費用を試算します。
  2. 大口顧客の契約売上の多い顧客との契約を読み直し、事故のときの解除、賠償、通知の条項を確かめます。
  3. 外からの警告の受け口銀行やカード会社、警察、取引先から不審な連絡が来たとき、社内の誰が受けて確かめるかを決めます。
自社で確かめるのが難しい場合はCyberScope のセキュリティ診断(3万円から)

出典

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