OpenSSLにHigh評価の欠陥、DTLSでメモリ漏えいのおそれ

OpenSSL に、
脆弱性の概要
- 対象
- OpenSSL
- 悪用
- 確認されていない
- 影響
- メモリの中身の漏えいと、処理の停止
- 修正版
- 修正版あり
- 公表元
- OpenSSL / Ubuntu
| 製品 | 対象のバージョン | 修正版 |
|---|---|---|
| OpenSSL 4.0系 | 4.0.3 より前 | 4.0.3 |
| OpenSSL 3.6系 | 3.6.5 より前 | 3.6.5 |
| OpenSSL 3.5系 | 3.5.9 より前 | 3.5.9 |
| OpenSSL 3.4系 | 3.4.8 より前 | 3.4.8 |
| OpenSSL 3.0 / 1.1.1 / 1.0.2系 | 修正版より前 | 3.0.23 / 1.1.1zj / 1.0.2zs(有償サポートのみ) |
| Ubuntu 26.04 LTS | 修正版より前 | 3.5.5-1ubuntu3.6 |
| Ubuntu 24.04 LTS | 修正版より前 | 3.0.13-0ubuntu3.16 |
| Ubuntu 22.04 LTS | 修正版より前 | 3.0.2-0ubuntu1.30 |
製品の履歴:OpenSSLの脆弱性一覧Ubuntuの脆弱性一覧
やること
OpenSSL(暗号通信のライブラリ)を修正版へ更新してください。
- 公式の配布物は 4.0.3、3.6.5、3.5.9、3.4.8 です
- 3.0系、1.1.1系、1.0.2系の修正版は有償サポートの契約者向けです
- 3.1系、3.2系、3.3系はサポート外で、調査もされていません
- Ubuntu は apt で更新し、再起動してください。USN-8847-1 が9月29日に出ています
Ubuntu は公式の新しいバージョンへ上げず、今のバージョンに修正だけを取り込みます(バックポート)。24.04 LTS は 3.0.13 のままで、公式の 3.0.23 より小さい番号でも修正は入っています。バージョン番号だけでは判断できないので、パッケージのバージョンを上の表と比べてください。同じ仕組みの例は OpenSSH 10.6の欠陥、Ubuntuは版そのままで9件を修正 にもあります。
再起動が要るのは、動いているプログラムが起動時に読み込んだ古いライブラリを持ち続けるためです。更新しただけでは、すでに動いているサービスは古い OpenSSL を使い続けます。
回避策は、公式の勧告に書かれていません。
何が危ないのか
CVE-2026-84782 は DTLS(UDP で使う TLS)の再送の処理の欠陥です。DTLS は UDP の上で動くため、届かなかったメッセージを送り直す仕組みを持っています。接続を始める手順で送信が途中で止まっている間に再送のタイマーが動くと、再送の処理が古い位置から読み出し、メッセージの領域の外を読みます。ヒープメモリ(プログラムが一時的に使う領域)の中身が、暗号化されていない手順のデータとして相手に渡ったり、読んだ先が使われていない領域でプロセスが止まったりするおそれがあります。
攻撃には、次の3つがそろう必要があります。
- DTLS を使っている
- 接続を始める手順の書き込みが、通信の都合で途中で止まる
- そのあいだに再送のタイマーが動く
OpenSSL の評価は High で、CVSS は CISA の評価で 8.2、認証は要らず、ネットワークから届く評価です。FIPS モジュールは対象外です。悪用の確認は公表されておらず、CISA の評価も「悪用なし」です。CVE 記録の CISA の評価では、自動化できる攻撃とされています。
勧告が説明しているのは DTLS の処理で、Web サイトの HTTPS で使う通常の TLS の欠陥とは書かれていません。DTLS は VPN、IoT 機器との通信、WebRTC などで使われます。自社が使っているかどうかは、機器やアプリの提供元の資料で確かめてください。
同じ勧告では14件が公表されました。ほとんどは Low です。
- CVE-2026-84783(Moderate)は 4.0系だけの欠陥で、複数の処理が並行して動く TLS クライアントや、クライアント証明書を求めるサーバーが止まるおそれがあります
- CVE-2026-75806(Low)は、短すぎる DTLS 1.2 のデータを1つ送るだけで、鍵を知らなくても既存の接続を切れるものです
- 残りは QUIC(UDP 上の新しい通信方式)の処理や、署名の処理時間から情報が漏れるものなどです
対象
4.0、3.6、3.5、3.4、3.0、1.1.1、1.0.2 の各系統が対象です。Ubuntu では 26.04 LTS、24.04 LTS、22.04 LTS に修正が入りました。20.04 LTS 以前は Ubuntu Pro が必要です。26.10 は対象外です。
Ubuntu の USN-8847-1 では、14件のうち QUIC に関する CVE-2026-35191、CVE-2026-75804、CVE-2026-84784 などは 26.04 LTS だけが対象と書かれています。
OS の更新で直らないものもあります。Ubuntu の CVE のページでは、22.04 LTS の nodejs が、自分の中に持つ OpenSSL のため「脆弱」と表示されています。
中小企業が学べること
DTLS は、UDP を使う通信で暗号化を行うために、VPN 機器やアプリの内部で使われています。自社で OpenSSL を直接触っていなくても、導入している機器の中にあることがあります。
次の2つを手順にしておくと、同じ種類の更新に慌てずに対応できます。
- 機器やアプリの一覧に「OpenSSL を中に持つか、OS のものを使うか」を書いておく。後者は OS の更新で直り、前者は提供元の更新を待つ
- OS の更新のあとに、
needrestartなどで再起動が必要なサービスを確かめる。再起動を飛ばすと、更新しても古い OpenSSL が動き続ける
更新までに時間がかかる場合は、DTLS の通信(UDP のポート)を受け付ける範囲を、必要な相手だけに絞っておくと、届く経路を減らせます。
自社で確かめること
- パッケージのバージョンを見るUbuntu では openssl version の表示では判断できないので、dpkg -l libssl3t64(22.04 LTS は libssl3)のバージョンを上の表と比べてください。
- 再起動を確かめるUbuntu の案内では更新のあと再起動が必要です。古いライブラリを使ったままのプログラムが残らないようにしてください。
- アプリの中の OpenSSL を探すアプリが自分の中に OpenSSL を持っている場合は、OS の更新では直りません。Ubuntu 22.04 LTS の nodejs がこの例です。



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