OpenSSH 10.6の欠陥、Ubuntuは版そのままで9件を修正

OpenSSH 10.6 の
脆弱性の概要
- 対象
- OpenSSH
- 悪用
- 確認されていない
- 影響
- 通信の妨害や、意図しない場所へのファイルの書き込み
- 修正版
- 修正版あり
- 公表元
- OpenSSH / Ubuntu
| 製品 | 対象のバージョン | 修正版 |
|---|---|---|
| OpenSSH | 10.6 より前 | 10.6 / 10.6p1 以降 |
| Ubuntu 26.04 LTS | 修正版より前 | 1:10.2p1-2ubuntu3.8 |
| Ubuntu 24.04 LTS | 修正版より前 | 1:9.6p1-3ubuntu13.20 |
| Ubuntu 22.04 LTS | 修正版より前 | 1:8.9p1-3ubuntu0.18 |
| Ubuntu 20.04 LTS 以前 | 確認中 | 公表なし |
製品の履歴:OpenSSHの脆弱性一覧Ubuntuの脆弱性一覧
やること
Ubuntu のサーバーでは apt で OpenSSH を更新してください。USN-8928-1(10月14日)が 26.04 LTS、24.04 LTS、22.04 LTS の修正です。
Ubuntu は OpenSSH 10.6 へは上げず、今のバージョンに修正だけを取り込みます。これをバックポートといいます。たとえば 24.04 LTS は 9.6p1 のままで、古い番号に見えても修正済みのことがあります。バージョン番号だけでは判断できないので、パッケージのバージョンが 1:9.6p1-3ubuntu13.20 以降かを見てください。同じ仕組みの例は Apache httpdに20件の脆弱性、最大CVSS 9.8で更新を にもあります。
Ubuntu 以外で公式の配布物を使う場合は、10.6 / 10.6p1 以降へ更新してください。公式にはその後、11月5日に 10.6p2 も出ています。
USN-8928-1 のページには、再起動についての記載がありません。通常のシステム更新で必要な変更は入る、と書かれています。9月3日の USN-8721-1 には OpenSSH の再起動が必要と書かれているので、設定の反映を確実にしたい場合は、保守の時間に sshd を再起動してください。ただし、遠隔から作業している場合は、再起動の前に別の接続を1本つないで確かめます。
何が危ないのか
OpenSSH は10月6日に 10.6 を公開しました。Ubuntu の通知は9件の CVE を挙げており、主なものは次のとおりです。
- CVE-2026-106585:圧縮されたデータを展開するときに最大の長さを確かめておらず、遠隔からサービスを妨害されるおそれがあります。CVSS は 6.5 で、Ubuntu のページで確かめた3件のうち最も高い値です。認証は要らず、ネットワークから届く評価です
- CVE-2026-106552:sftp の再帰コピーで、悪質なサーバーに意図しない場所へファイルを書かれるおそれがあります。CVSS は 4.2 で、利用者の操作が前提の評価です
- CVE-2026-106582:圧縮の仕組みから、情報が漏れるおそれがあります。CVSS は 3.7 です
- CVE-2026-106553:GSSAPI 認証で、失敗した試行の資格情報が残ることがあります
残りの5件は、次のとおりです。
- CVE-2026-106583:ssh のコマンドラインのユーザー名に特殊な文字を入れて、任意のコマンドを実行させられるおそれがあります
- CVE-2026-106584:ssh-keygen が日付を変換するときの夏時間の扱いが誤り、証明書の有効期限がずれるおそれがあります
- CVE-2026-106586:sshd が authorized_keys の
restrictをトンネル転送に適用せず、許可された鍵を持つ人が制限を回避できます - CVE-2026-106587:「none」を受け付ける設定項目の扱いが誤っています
- CVE-2026-106555:106553 と同じく、sshd が認証の試行のあいだで GSSAPI の状態を取り違えます
悪用の確認は公表されていません。
圧縮の変更
10.6 は、圧縮の仕組みから平文が推測されるおそれへの対策として、圧縮の辞書の使い方を止めました。公式のリリースノートは、この変更で Compression の設定の効果が下がることを書いています。通信量を減らすために Compression yes を使っている場合は、転送が遅くなったり量が増えたりすることがあります。
また、ssh のコマンドラインのユーザー名に $ と \ が使えなくなりました。ProxyCommand などに、ユーザー名を渡すスクリプトを組んでいる場合は、動かなくなることがあるので試験してください。設定ファイルの User は対象外です。
対象
Ubuntu では 26.04 LTS、24.04 LTS、22.04 LTS に修正が出ました。26.10 は USN-8937-1 です。20.04 LTS 以前は Ubuntu のページで「確認中」です。
CVE-2026-106552 などは sftp のクライアント側の欠陥で、接続先のサーバーが悪質な場合に当たります。接続先を自社や取引先の管理下のサーバーだけにしている場合は、当たる条件が狭くなります。
11月5日に伝えたパスワード回避の欠陥は別のものです。musl を使う環境が対象で、Ubuntu は対象外です。
中小企業が学べること
踏み台のサーバーや保守用の接続で、sftp や scp を使うときは、接続先を決めておきます。今回の sftp の欠陥は、悪質なサーバーへつないだときに当たるので、知らないサーバーへ手元の端末からつながないだけで、当たる条件を避けられます。
authorized_keys に restrict を付けて鍵ごとの許可を絞っている場合は、更新のあとに転送の動作が変わっていないかを確かめます。必要な機能は、restrict のあとに個別に足す形にしておくと、何を許可しているかが一目で分かります。
自社で確かめること
- パッケージのバージョンを見るssh -V の表示では判断できないので、dpkg -l openssh-server のバージョンを上の表と比べてください。
- 9月の更新も確かめる9月3日の USN-8721-1 が未適用なら、今回の更新でまとめて入ります。案内では OpenSSH の再起動が必要です。



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