nginxに遠隔で狙える欠陥5件、Ubuntuは全LTSに修正

Web サーバー nginx に、
脆弱性の概要
- 対象
- Webサーバー
- 悪用
- 確認されていない
- 影響
- 設定によって遠隔で停止やコード実行のおそれ
- 修正版
- 修正版あり
- 公表元
- nginx / Ubuntu
| 製品 | 対象のバージョン | 修正版 |
|---|---|---|
| nginx 開発版(mainline) | 1.31.7 より前 | 1.31.7 以降 |
| nginx 安定版(stable) | 1.30.6 より前 | 1.30.6 以降 |
| Ubuntu 26.04 LTS | 修正版より前 | 1.28.3-2ubuntu1.12 |
| Ubuntu 24.04 LTS | 修正版より前 | 1.24.0-2ubuntu7.19 |
| Ubuntu 22.04 LTS | 修正版より前 | 1.18.0-6ubuntu14.22 |
| Ubuntu 20.04 LTS | 修正版より前 | 1.18.0-0ubuntu1.7+esm4(Ubuntu Pro) |
| Ubuntu 18.04 LTS | 修正版より前 | 1.14.0-0ubuntu1.11+esm5(Ubuntu Pro) |
製品の履歴:nginxの脆弱性一覧Ubuntuの脆弱性一覧
やること
nginx(Web サーバーのソフト)を修正版へ更新してください。
- 公式の配布物は 1.31.7 以降(開発版)、1.30.6 以降(安定版)です
- Ubuntu は apt で更新してください。USN-8955-1(10月26日)と USN-8955-2(11月5日)が出ています。20.04 LTS 以前は Ubuntu Pro が必要です
Ubuntu は公式の新しいバージョンへ上げず、今のバージョンに修正だけを取り込みます。これをバックポートといいます。たとえば 24.04 LTS は 1.24.0 のままです。バージョン番号だけでは判断できないので、パッケージのバージョンを上の表と比べてください。同じ仕組みの例は Apache httpdに20件の脆弱性、最大CVSS 9.8で更新を にもあります。
USN-8955-1 と USN-8955-2 のページには、再起動についての記載がありません。通常のシステム更新で必要な変更は入ると書かれています。nginx は動いているプロセスが古いプログラムを持ち続けるので、更新のあとは nginx を再起動し、nginx -V や設定の検査で動作を確かめてください。
nginx の1.31.8(10月21日)には、セキュリティの修正が入っていません。10月14日の 1.31.7 の修正が、そのまま最新です。
公式の一覧とリリースノートには、回避策が書かれていません。F5 の案内に詳細があります。
何が危ないのか
nginx は10月14日に5件を修正しました。公式の深刻度はどれも Medium ですが、CVE-2026-93479 の CVSS は v3.1 で 8.1、v4.0 で 9.2 です。Ubuntu の優先度は Medium です。
当たる条件は、それぞれ特定の設定です。oss-security の投稿は、影響を「受けるように見える」という推定の形で書いています。
- CVE-2026-93479:
mapの正規表現のキャプチャ変数を、rootかアクセスログの書式が、mapの出力より前に参照する設定で、ワーカー(処理を担うプロセス)のメモリが壊れます。ログインは要りません。条件によっては、キャッシュされない変数を文字列の式で使う場合でも起きます - CVE-2026-15176:
aliasとrewriteを組み合わせた場所で、$request_filenameをsetやreturnで参照するか、アクセスログの書式で使う設定です - CVE-2026-97205:AIO(非同期のファイル入出力)を有効にし、SSI のページで
include virtualを処理する設定です - CVE-2026-97629:共有のセッションキャッシュを使い、
ssl_session_ticket_keyを明示しない設定で、TLS のセッションが偽造され、クライアント証明書の確認を回避されるおそれがあります - CVE-2026-95101:HTTP/3 を使い、
proxy_request_bufferingがonの設定で、転送先への要求にデータを混ぜられるおそれがあります
ワーカーの再起動を招くのは、CVE-2026-93479、CVE-2026-15176、CVE-2026-97205 です。ASLR(メモリ配置の無作為化)が無効か回避された場合は、コードの実行につながるおそれがあります。 oss-security の投稿と Ubuntu のページは、CVE-2026-93479 と CVE-2026-95101 を、管理の機能(コントロールプレーン)ではなく、通信を処理する側(データプレーン)だけの問題としています。悪用の確認は公表されていません。
対象
どれも特定の設定や機能を使う場合に当たります。公式の一覧では、版の範囲が CVE ごとに違います。
- CVE-2026-15176:0.1.29 から 1.31.6
- CVE-2026-93479:1.31.2 から 1.31.6、1.30.0 から 1.30.5
- CVE-2026-95101:1.25.0 から 1.31.6
- CVE-2026-97629:1.23.2 から 1.31.6
- CVE-2026-97205:0.8.11 から 1.31.6
Ubuntu では、CVE-2026-95101 は 26.04 LTS と 26.10、CVE-2026-97629 は 24.04 LTS 以降が対象です。USN-8955-2 は、20.04 LTS 以前の対応で、CVE-2026-42533(map の処理)も同じ更新で直ります。
中小企業が学べること
nginx の設定ファイルは、年月がたつと、誰が何のために書いたかが分からなくなります。今回のように、特定の設定の組み合わせで当たる欠陥は、自社の設定にその組み合わせがあるかどうかで、急ぐ度合いが決まります。設定を、次のように調べてください。
grep -rn "map " /etc/nginxで、正規表現を使うmapがあるか。あればrootやlog_formatとの組み合わせを見るgrep -rn "alias\|aio\|ssi\|http3\|ssl_session_cache" /etc/nginxで、今回の条件に出てくる設定を使っているか
使っていない場合も、更新は同じように必要です。設定の確認は、急ぐ順番を決めるためで、更新を省く理由にはなりません。
設定の変更を履歴に残しておくと、半年後に「この alias は何のためか」を調べられます。更新のたびに、設定のうち使っていないものを消す日を決めてください。
自社で確かめること
- パッケージのバージョンを見るUbuntu では nginx -v の表示では判断できないので、dpkg -l nginx のバージョンを上の表と比べてください。
- 設定を確かめるmap の正規表現、alias と rewrite の組み合わせ、AIO と SSI、HTTP/3 を使っているかを確かめてください。使っていても更新で直せます。
- 機器やコンテナの中も見るDocker のイメージや製品に入った nginx は、OS の更新では直らないことがあります。イメージを作り直すか、提供元の案内を確かめてください。



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